大判例

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横浜地方裁判所 平成9年(行ウ)4号 判決

原告

ホンドギツネ

ホンドタヌキ

ギンヤンマ

カネコトタテグモ

ワレモコウ

右原告ら訴訟代理人弁護士

朝倉淳也

佐和洋亮

海野浩之

坂元雅行

関口佳織

被告

川崎市長 高橋清

財団法人川崎市まちづくり公社

右代表者理事長

高橋清

被告

高橋清

大熊辰熊

小机實

右被告ら訴訟代理人弁護士

石津廣司

事実及び理由

二 本件訴えは、自然物たる前記動植物を原告として提起されたものである。そして、訴状によれば、自然には固有の価値があり、それ自体に保護されるべき法的利益が認められること、自然に対する法的保護を全うするためには、人間が訴訟の場で自然の利益を代弁するのみでは不十分で、自然自体に法的当事者性を認める必要があることなどが主張されている。しかし、当事者能力については、民事訴訟法四五条が「本法ニ別段ノ定メアル場合ヲ除クノ外民法其ノ他ノ法令ニ従フ」と規定するところ、自然物に当事者能力を認めるべき現行法令の根拠はなく、民法その他の法令は、人間社会における紛争を念頭において規定されたものであり、訴訟を追行し、それによる法的効果が帰属する主体は人であることを当然の前提としているものというべきである。したがって、自然物に尊重されるべき固有の価値が認められるとしても、これに当事者能力を認めることはできない。

また、訴状では、現行法上、権利能力なき社団や胎児に当事者能力が認められること、外国では、訴訟の場で自然物に当事者能力を認めたのと同様の取扱いがされた事例があることなどを理由に、その当事者能力を認めるべきものという。しかし、我が国の法令がおよそ訴訟追行の主体として予定していない自然物に対し、権利能力なき社団や胎児の権利能力に関する特別の規定を類推して当事者能力を認めることはできず、法制度の異なる外国の取扱いなどを理由に、自然物に当事者能力を認めることもできない。

右の理は、住民訴訟の場合も同様というべきであって、現行法上、当事者能力を有しないことが明らかな自然物が、地方自治法二四二条一項の「住民」に含まれると解することはできない。

なお、複数の住民が提起する地方自治法二四二条の二第一項の訴えは、いわゆる類似必要的共同訴訟であると解される。しかし、本件のように明らかに当事者能力を欠くものを原告として提起された訴訟に関しては、合一的確定の要請が働く余地はないから、これらのものにつき弁論を分離して判決をすることは可能というべきである。

三 以上のとおり、本件訴えは、当事者能力を欠く動植物を原告として提起された不適法なものであり、これを補正することができないことは明らかであるから、行政事件訴訟法七条、民事訴訟法二〇二条により、口頭弁論を経ないでこれを却下することとし、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 浅野正樹 裁判官 近藤壽邦 近藤裕之)

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